ヤンゴンのアパートにきて迎えた最初の朝、汽笛の音で目を覚ました。
近くを鉄道が走っているのはわかるものの、どこを走っているのかがよくわからなかった。 再び汽笛の音が聞こえ、キッチンの窓から見下ろすと、生い茂る木の向こう側にわずかながら走る列車の姿が見えた。 玄関側は道路に面していて、トラックやクラクションの音が耳障りだけれど、鉄道の汽笛やレールの継ぎ目のガタンゴトンという音は、旅情をそそってなんとも心地よい。 主に走っているのは市内環状線で、かつて日本で使われていたキハ車両と、機関車が牽引する客車で、たまにピー方面に向かう客車タイプの長距離列車が通過していく。 ピー方面に向かう車両は牽引する機関車が環状線と異なるので、汽笛の音でキハ車両か、環状線の客車か、ピー方面に向かう客車か、暮らしはじめてから2週間ほどで区別できるようになった。 ただ、来たばかりのころは手前に大きな木があって、それが邪魔で、「あの木、伐ってくれたらよく見えるんだけどなぁ」といつも呟いていた。 そして3週間ほど過ぎたころだろうか、業者の人が来て、本当にその木を伐ってしまったのだ。 「できれば左側のヤシの木みたいなのも伐ってくれないかなぁ」と今は呟き続けているけれど、伐ってくれる気配は今のところ全くない。
by htway
| 2016-09-22 00:35
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