カテゴリ:暮らし( 24 )

川の向こう側へ

 再びチミンダインの船着き場を訪れる。
 このときは、川の向こうへ行くつもりでやってきた。
 でも、この場に立ってしまうと、また怖気づいてしまう自分がいる。 
 旅人であるかつての私であったら、あのときあれをしないで、あとになって後悔したくない、という気持ちでどんどん突き進んでいたけれど、今の自分は、またいつか行けるだろう、みたいな気持ちで何もかも後回しにしてしまって、そんな今の自分が嫌でもあった。
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 やがて、生きた鶏をたくさん積み込んだ人が船に乗船して、思った以上に船に近寄っていたら、後ろからきた若者が「あなたも乗船されますか?」というので、もうその勢いで乗船してしまった。
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 そして、船がどんどん見なれた船着き場を離れていく。
 船の上から見る風景は、川岸から見ていた風景と違って、新鮮だ。
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 たくさんの鶏を運んだ女性が、足元の鶏たちに水を与えるたび体を震わせ、水しぶきが私のズボンにかかってくる。
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 そんな鶏たちを気にしていると、いつの間にか対岸が近づいていた。
 川沿いに高床式の家屋が並んでいる。
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 そして、どこかも分からない対岸にたどり着いた。
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 船着き場から続く一本道は狭くガタゴトで、車は走っていない。バラック小屋のような開放的な家屋から人々の暮らしが垣間見え、誰もが私を不思議そうに見つめる。
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 この光景は2001年にはじめてミャンマーを訪問したチャイトンの光景とどこか似ている。
 はじめてミャンマーを訪れる不安と、好奇心。あまり外国人が訪問しない町で、物珍しそうに私を見つめる人々。
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 あの時の光景と私の気持ちが、15年の時を超え、ヤンゴンの対岸の村でフラッシュバックした。



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by htway | 2016-12-17 13:29 | 暮らし

船着き場にて

 チミンダインのニャゼーを通り抜けて川沿いに向かい、水産物加工場の横にある船着き場をはじめて訪問したのが8月のはじめ。まだヤンゴンに来てひと月も経っていないころだった。
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 この時は雨季の真っただ中で、ここに来たときも雨だけでなく、風もそこそこあって、川の対岸まで見える距離ではあっても、こんな難民船のような船で行き来するというのは、都会のヤンゴンで暮らしている中でも、本当に命がけのような往来に思えた。
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 あれから4か月、12月に入って、あの場所で夕陽を見たらきっときれいだろうなぁ、と思い、日没の時間に合わせて久しぶりに訪問してみた。
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 雨季の黒ずんだ空と、茶色に濁り、波打った川の風景と違い、夕焼けと、穏やかな川の流れを見て、見る季節でこんなにも違って見えるものなのか、と思った。
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 でも、本当は、ヤンゴンに来たばかりのころの、自分が想像していた生活が、現実と違っていたことへのギャップや不満。それから少し気持ちが落ち着いてきた今の自分と、そんな心の違いが、違う風景に見えているのではないだろうか。
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 そして、私も川の向こう側に行ってみたい、そんな気持ちが強くなっていった。
 でも、もうすでに太陽は沈み、船頭たちも、私に声をかけてくる人はいない。
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 やはり、このような船に外国人を乗せたくはないのだろうか、それとも乗せてはいけないのだろうか。
 そして12月7日夕方、3度目の訪問。この日はいつになく水位が低く、そのせいか、対岸も近いように感じた。
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 この時はじめて船頭から声がかかった。ゼスチャーを交えながら、
 「ちょうど夕日が沈むころだから、おいらの船に乗ってそのカメラで写真でも撮ってみないかい?」
 みたいなことを話してきた。
 値段を聞いてみると200チャット(約17円)。
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 ただ、私はこのあと友人と会う約束があって、船頭さんには、ちょっと時間がないんです、と伝え、この日はこの場所を後にした。
 でも、これで外国人の自分もあの船に乗ることができることが分かった。
 同じヤンゴンでありながら、船で行くことしかできないあちら側の風景がどのようなものなのか、自分の気持ちが高ぶっているのが自分でもよく分かった。



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by htway | 2016-12-12 21:13 | 暮らし

水がめ

 ヤンゴン市内を歩いていてよく見かけるのがこの水がめ。
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 タイの北部でもよく見かけるけれど、道往く人たちに、どうぞ水を飲んでください、というために置かれている。
 今はヤンゴンでもコンビニとかあって、水なんていつでもどこでも簡単に手に入るのだけれど、上座部仏教国ならではの慈愛に満ちた精神だなぁと思う。
 最近は土壺ではなく、もっと清潔で市販されているプラスチックのボトルタンクが置かれていることが多いけれど、不謹慎な人が持って行ってしまう人とかいるらしく、それを設置している人が夜に室内にしまうか、中には鍵のかかった格子状の中に入れて管理してあるところもある。
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 それにしてもこれ、違う用途に使われているようで、本当に飲んで大丈夫なのだろうか。





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by htway | 2016-11-20 21:43 | 暮らし

ダザウンモン

 11月14日の満月の日(ダザウンモン)に合わせて、ヤンゴンでもその前後に市内各地でいろいろなイベントがあった。
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 とはいっても、シャン州のタウンジーやカローのように、パレードや花火の仕掛けられた熱気球や松明が登場するわけでもなく、ちょっと物足りない感じ。
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 本当はカローに行きたかったけれど、帰省客や観光客でバスが人と荷物でごった返すのを以前経験していて、それがちょっと嫌で今回はあきらめた。
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 うちの近くではあちこちでくじ引き大会があって、そのくじを待つ人たちの大行列。
 もらったくじの番号の所に行って商品を受け取るのだけれど、お菓子や飲み物、手作りの弁当、食器といった品から、ちょっと高価な電気ポットや大きな米袋なんかもあった。
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 商品を受け取った人たちの表情が、それがなんであれ、みんなあかるくて、楽しそうに持ち帰っていた。
 あとは路上に長いテーブルをおいて、大きな鍋で料理を作り、無料で食事をふるまってくれるのもあちこちであって、私も一度モウヒンガーをご馳走になった。
 ミャンマーに来たばかりのころは雨安居入りで、雨季でジメジメして、人々の暮らしも質素で、これといった行事もなかったのだけれど、10月の満月の日(ダディンチュ)あたりから、雨も少なくなって、路上でパフォーマンスや鳴り物やいろいろでてきて、アジアな空気を感じるようになってきた。
 

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by htway | 2016-11-17 22:20 | 暮らし

物価上昇中のヤンゴン

 ミャンマーに来て3か月。もう3か月かという思いと、まだ3か月しかたってないという思いが交差する。
 まだ3か月しかたってないのに、と強く感じているのは、物価の上がり具合。
 例えば、前に紹介したレーダン市場横の路地にあるイーチャーゴエ(油条)が1本100チャットだったのが、いつの間にか150チャットに値上がりしていた。
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 同じくレーダンの路上市場の豚舌も、4000チャットだったのが4500チャットに。
 すぐ下の記事の豆の揚げパンも、以前は200チャットだったのが先日買ったときには250チャットになっていた。

 ミャンマーの日本語情報誌によると、最近のミャンマーのインフレ率が10%を超えている状況らしく、実際外貨に対してもミャンマーの通貨安が進んでいる。
 特に日本の円は今年に入ってから円高が進んでいて、これまで私は100チャット10円で表記していたものの、実際は100チャット8円で推移している。
 おそらく、今後日本の円は米ドルに対して徐々に下がるとしても、ミャンマーのチャットもしばらく下がると想定して、今後は100チャット8円で表記することにします。





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by htway | 2016-10-29 22:51 | 暮らし

雨季の末期

 この画像が9月6日に撮影したもの。
 私がヤンゴンに来て、おそらく一番降ったのがこの日。
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 アパートの前の通りは中央線からやや傾斜していて、路側帯が雨水で浸水することはあっても、中央線まで浸水することはなかった。
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 雨が小降りになり、カメラを持ってあたりを散歩。水は線路のほうにも流れ込んでいた。
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 ただ、この日を境に、雨の時間帯が減り、日照時間が長くなってきた。室内の湿度計もエアコンを使用しないと90%を超えていたのが、最近は90%を下回るようになり、晴天が続くと70%以下まで下がる日も出てきた。
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 ただ、日照時間が長くなって気温も高くなり、夕方になると激しい雨が降ることが多く、最近では中央線が泥水で見えなくなるくらい浸水することもしばしば。
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 きっとこれも、雨季の終わりに近づいているんだろうなぁ、とそう思っている。
 これからミャンマーでは祭りやお祝いごとの多いシーズンに入っていく。
 私もそろそろミャンマー各地を回ろうと思っている今日この頃。


 
 

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by htway | 2016-10-06 22:23 | 暮らし

雨季の晴れ間の風景

 ヤンゴン環状線に乗って、ヤンゴン駅から20分ほどのところにあるチミンダイン駅でのひとコマ。
 この駅は普段からレーダン駅からダウンタウンに向かう途中に立ち寄る駅で、赤レンガのアーチ様式の美しい駅舎が印象的な駅。
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 この駅周辺には市場も多く、とても活気があって、人の乗り降りも多い。
 この日は雨季のあいまの貴重な晴天で、駅構内にいつも以上にたくさんの洗濯物が干してあって、ちょっとおもしろそうなので途中下車することに。
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 私が珍しそうに写真を撮っていると、自分たちのやっていることがよくないと思ったのか、ひとりのおじさんがやってきて、
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 「なぁ、わかるだろ。最近ずっと雨続きで晴れたことなかったじゃない。洗濯物もたまっちまったし、俺たちだってしょうがないんだよ。」
 そんな言い訳めいたことを話した。
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 「いいじゃないですか、これ。いいですよ。」
 と私が答えると、おじさんは安心したのか、周りの人たちに
 「いいんだってよ。」
 と話しまわっていた。
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 そうこうしているうちにヤンゴン方面から列車がやってきた。
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 そして線路の枕木に置かれた洗濯物の上を通過する。
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 そして通過。
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 またすぐにインセイン方面からの列車もやってきた。
 雨季のわずかな晴れ間の、なんとも愉快な光景だった。
 最近は雨の日も少なくなり、普段から洗濯物を干しているからか、これだけの洗濯物が置かれることもなくなった。




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by htway | 2016-09-24 14:59 | 暮らし

水だし

 ヤンゴンで発行されている日本語新聞によると、8月のヤンゴンの平均気温が約28℃とのこと。
 実際、今まで日本で過ごした8月のような厳しい暑さはそれほど感じなかった。
 ただ、最近は雨季も終わりに近づいて晴天の時間が多くなり、秋の気配の日本に比べて、こちらのほうが暑くなりつつある。

 そんな中、日本から茶葉を持参したものの、さすがにあつーいお茶を飲もうという気にもなれず、こちらに来てからずっと水だし茶で飲んでいる。
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 お湯で淹れるお茶に比べ、水に浸して冷蔵庫で2、3日かけて抽出すると、苦みがほとんど感じず、まろやかでとてもおいしい。
 ちなみに、こちらにもペットボトルのお茶はあるけど、どうせ甘いだろうということは想像がつくし、日本から持参した茶葉がなくなるまでは飲むつもりもない。

 さらに、コーヒーも水だしでアイスコーヒーを作っている。お湯で淹れたのに比べてちょっと色が薄いものの、味はしっかりのっている。
 ただ、やはりミャンマー産のコーヒーは香りが弱くスモーキーで、水だしでも苦みが抜けない。そのため、ベトナム式にコンデンスミルクを加えて飲んでいる。
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 また、ライムが市場で大きさによりけりだけれど50~200チャット(5~20円)で、加水、加糖して500mlくらいの量であれば、だいたい30円ほどで作ることもできる。
 そして、季節に合わせて様々なフルーツのフレッシュジュースやシェイクも味わえる。

 冬というものの存在しないヤンゴンで、様々なコールドドリンクを試している日々。




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by htway | 2016-09-23 20:32 | 暮らし

雨期の憂鬱

 ミャンマーに来たのが雨期の真っただ中で、とにかく苦労したのが湿度だった。
 うちはぼろアパートの4階にあるのだけれど、それでも毎日のように湿度計が90%を超えるHIの表示で、ひどいときはフローリングの床がべたついてしまうほど。
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 洗濯物は乾かないので、こっちに来てアイロンがけというものをするようになった。
 特に困ったのが、日本から持参した木製品や陶器、じゅうたんにカビが生えてしまったこと。木製品は漆の施されていない白木のものや藁細工、和紙、更にはしゃもじや、つまようじまで。
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 特に嫁のプレゼントで買った柘植の櫛や、琉球玩具の製作者、古倉保文さんの和紙の鳩人形にカビがついたときはショックが大きかった。
 陶器は圧力鍋に水をはってその中に入れ、高温殺菌で除菌。じゅうたんは禁じ手ではあるけれど、沸騰した湯をかけ、酸素系の漂白剤をかけて洗ったあと、大量の水で流して天日干し。当然のことながら糸が縮んで縁がカールしてしまった。
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 9月も中旬になって、雨の量も降る時間も少なくなり、室内の湿度計も90%をきり、日中は70%まで下がってきている。
 それでもなお再びカビが発生するものもあって、できるだけ日が当たって風通しのいいところにおいてあげたり、調理具についてはコンロの余熱で加熱殺菌するなどして対応している。
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 また来年やってくる雨期に向け、今からいろいろ対応策を検討中。



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by htway | 2016-09-22 13:28 | 暮らし

鉄道を眺めながらの暮らし

 ヤンゴンのアパートにきて迎えた最初の朝、汽笛の音で目を覚ました。
 近くを鉄道が走っているのはわかるものの、どこを走っているのかがよくわからなかった。
 再び汽笛の音が聞こえ、キッチンの窓から見下ろすと、生い茂る木の向こう側にわずかながら走る列車の姿が見えた。
 玄関側は道路に面していて、トラックやクラクションの音が耳障りだけれど、鉄道の汽笛やレールの継ぎ目のガタンゴトンという音は、旅情をそそってなんとも心地よい。
 主に走っているのは市内環状線で、かつて日本で使われていたキハ車両と、機関車が牽引する客車で、たまにピー方面に向かう客車タイプの長距離列車が通過していく。
 ピー方面に向かう車両は牽引する機関車が環状線と異なるので、汽笛の音でキハ車両か、環状線の客車か、ピー方面に向かう客車か、暮らしはじめてから2週間ほどで区別できるようになった。
 ただ、来たばかりのころは手前に大きな木があって、それが邪魔で、「あの木、伐ってくれたらよく見えるんだけどなぁ」といつも呟いていた。
 そして3週間ほど過ぎたころだろうか、業者の人が来て、本当にその木を伐ってしまったのだ。
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 だから今はいつもキッチンの窓越しに走る列車の姿が見えるようになった。
 「できれば左側のヤシの木みたいなのも伐ってくれないかなぁ」と今は呟き続けているけれど、伐ってくれる気配は今のところ全くない。

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by htway | 2016-09-22 00:35 | 暮らし